最高裁判決に対する弁護団声明公開のお知らせ

2022-06-24

最高裁判決に対する弁護団声明公開のお知らせ

本年6月22日、最高裁判所第二小法廷は、当弁護団の事件を含む4事件について、いずれも国の不法行為責任を否定する判決を言い渡しました。

その判決は結論はもとより、その結論を導く過程においても極めて不当な内容でした。

当弁護団は本日、最高裁判決に関する弁護団声明を公開しました。

この最高裁判決があまりにも不当な内容であることについて多くの皆様に知っていただきたいと思います。

是非、この弁護団声明を拡散してください。

 

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原子力損害賠償群馬訴訟 最高裁判所判決に関する弁護団声明

原子力損害賠償群馬弁護団

 去る2022年6月17日、最高裁判所は、我々の群馬訴訟の他、生業訴訟、千葉訴訟及び愛媛訴訟の4件について、同時に判決を言い渡した。

これらの判決で、最高裁判所は、福島第一原発事故に関する国の責任を否定した。

約9年間にわたる訴訟活動において、我々原告側が国の責任に関して辿り着いた1つの答えは、「原発事故が『万が一にも起こらないようにするため』(最判平成4年10月29日民集第46巻7号1174頁〔伊方原発最高裁判決〕)には、平成14年7月に地震本部が長期評価を公表した当時、国(当時の原子力安全・保安院)はどのような対応をすべきだったのか。」という問題提起であった。

原発事故が「万が一にも起こらないようにするため」には、長期評価は速やかに安全規制に取り入れる必要があり、国は、その知見を前提に、東京電力に対し、安全寄りの万全な津波対策を講じさせなければならなかったはずであるというのが我々原告側の主張の核心であった。

我々弁護団は、当然、最高裁判所は、この我々の問題提起に対して「憲法の番人」としての姿勢を示すものと思っていた。ところが、最高裁判決の多数意見は、我々の問題提起から目を逸らし、小手先の因果関係論に逃げ込んで国の責任問題に蓋をした。

この多数意見は、最高裁自身が伊方原発最高裁判決で国民に示した法解釈を反故にして、原子力発電所に対する「万が一にも事故を起こさないだけの性能を備えていなければならない」という法的制約を取り払い、国民に対し、原発事故が起こることを甘受すべきであると宣言したのも同然である。

このような多数意見に対しては、「失望」以外に言葉が見付からない。

他方、今般の最高裁判決には、「『想定外』という言葉によって、全ての想定がなかったことになるものではない。長期評価をうけて保安院と東京電力が真摯な検討を行っていれば、本件事故を回避できた可能性が高い。」として、多数意見を根底から否定する三浦守裁判官の反対意見が付された。この三浦反対意見には「憲法の番人」としての正義が示されている。我々弁護団は、まだ全国で継続している集団訴訟の仲間と協力関係を一段と強化し、今後、この三浦反対意見を普遍化し、三浦反対意見こそが司法の立つべきスタンスであることを明らかにするため努力を続ける所存である。

 

2022年6月24日

 

原子力損害賠償群馬弁護団団長

弁護士  鈴木 克昌

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